◆第一句集
切り株は大地の一部雀の子
母は師と呼ばれる人間ではありませんでしたが、私にとっては師というか俳句世界への導師であったと言えましょう。切り株の句は私にそんなことを思い出させてくれます。
(あとがきより)
◆自選十五句
切り株は大地の一部雀の子
春嵐芋づるめきて園児往く
春愁も放り込みけり洗濯機
花疲れまずお絞りとメニュー来る
春愁やマスクはどこか下着めく
黙秘権捨ててはまぐり口開く
ベトミンの潜みし村や田植笠
母がゐて母の客ゐて水羊羹
すててこのしばし預かる乳母車
投函は秘め事に似て花は葉に
巴里祭読めぬメニューをまた開く
口紅のすこし濃くなり夏終る
鰯雲斜塔は少し弓なりか
鉄削るをとこ生牡蠣剥くをんな
ポケットに馬券一枚日向ぼこ
ご本の紹介→ (ふらんす堂「編集日記」)
[はやしぎょうへい(1940〜)]
装丁:和兔
四六判上製カバー装
192頁
2023/07/29刊行