★第一句集
信ずるに足る一本の青き麦
寺田さんは世界を先ず素手で掴み、そこから普遍的な詩情を掬い取る。自己を語らずとも一句の中に確り作者が存在している。それが幸子俳句だ。
(序より・守屋明俊)
★自選十句
黄蝶かな檸檬が空をゆくやうに
海市へといつしか紛れ込んでをり
捩花の階段雨が下りてくる
青葉木菟いづみの如く夜が透く
蟷螂は線で生まれて来たりけり
朝顔をだれも花束にはできぬ
冬が来る鯨が鹹き海を来る
禁じられし遊びのやうに帰り花
見失ふために見つむる綿虫を
天上と地上は隣蝉氷
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ご本の紹介→ (ふらんす堂「編集日記」)
[てらだゆきこ(1948〜)「閏」創刊同人]
序:守屋明俊
装丁:君嶋真理子
四六判変形薄表紙カバー装
192頁
2023/07/29刊行