◆第三句集
たんぽぽをたどればローマまで行ける
生きる支えとしての俳句の有難さ、人間社会に対する判精神としての俳句の役割をあらためて実感する毎日であった。
◆自選十五句
祭いま角を海へと曲がりけり
校庭に巨大×卒業す
朝顔育て宇宙飛行士志望
国家からすこし離れて葱坊主
峰雲の中に峰ある昏さかな
どこにでもゐる小林と野焼見に
日本に醤油ありけり冷奴
野分雲神の垂れ目がのぞきけり
この町に暗室いくつつばくらめ
ただ風に吹かるるための夏帽子
どの扉開けてもそこが春の牧
花曇とは文房具屋のにほひ
わが去りし席が消毒され西日
万緑の真中クリムトの「接吻」
瓢箪にくびれ作りし神を信ず
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[なかんせん「牧」「平」代表、「群青」同人]
栞:櫂未知子
装丁:君嶋真理子
四六判フランス装
210頁
2023/07/20刊行