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地道な写実の方法を学び、病臥の体験も経て、生命ある万物への凝視が深まり、真実を内包して奥深く、たおやかな境地を得た第2句集。
この部屋を方舟と決め冬の蠅
冬の蠅への愛憐の情を通じて、深い人生観が感じられる。
俳句の道を一途に歩みつづける径子さんの今後に期待するところ大である。(帯・鍵和田ゆう子)
蓬莱やながながと寝る座敷犬
鳳凰堂に足ぶらぶらと端居かな
マスクして嗅ぐ東京の世紀末
きちきちと鳴いて地球を後にせり
騎馬始怒濤の端を行きにけり
帯・鍵和田ゆう子(ゆうは禾+由)
装丁・平子公一 四六判上製カバー装 218頁
●著者略歴
本名、圭子。1957年9月東京生まれ。1980年東京大学教養学部卒業。福永耕二の指導を受け作句開始。1985年「未来図」入会。1987年「未来図」新人賞受賞。1992年第一句集『無限階段』。2003年俳句・俳景シリーズ『日時計』刊。2004年未来図賞受賞。現在、「未来図」同人、俳人協会会員