◆第二句集
小谷迪靖さんの俳句は
自我をあらゆる制約から解放しようとする
ためのエスプリに満ちている
読者はおおいにたのしまれることを
矢野景一
◆自選十五句
鶏鳴や酉の鶏日それなりに
木枯の吹く夜聖者がやつてくる
天上は退屈なりと告天子
余生いましをりのやうに吾亦紅
ひとつとて同じ貌なきむかごかな
人の死も庭の落葉のごときもの
振り米をのちに伝へよさしも草
天上の野がけの妻へ玉櫛笥
吊革の三角形にある秋思
北塞ぎダミアの「暗い日曜日」
空走りの遊びせんとや生まれけり
散骨の夏潮に乗りアラスカへ
わが妹にしでの田長の啼くことよ
露の世に残して逝きぬかちんこよ
聞かれけり芽吹き未だかと漉油
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[こたにみちのぶ(1939〜)「海棠」同人]
帯:矢野景一
装丁:君嶋真理子
四六判上製カバー装
204頁
2023/05/27刊行