◆第一句集
鴨の背を雨滴転がる遅日かな
私はのりこさんの俳句に、
あるときは華やかさとつつましさとの、
またあるときはひたむきさと悠長さとのマリアージュを見る。
(帯より・満田春日)
◆自選十五句
曲がりたくなれば曲がりて春日傘
よく眠る母を見てをり梅雨の月
向き合ひて額涼しき人であり
紙コップくしゆつとつぶし冬木の芽
傘さして人あひ似たる栗の花
コンビニのうすき本棚桜の実
ざぶざぶと雨踏んでゆく桐の花
自販機のごとりごとりと熱帯夜
秋の芽や白衣のままにくつろいで
熱の手に本の重たき裕明忌
蔦の葉に蔦のかたちの春の雪
夏めくや髪にとぶ種つけしまま
牽牛花手に吸ひついて破れけり
ベビーカーへ小さく手打熊手市
冬の海光の板となつてゐる
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[はるたのりこ(1949〜)「はるもにあ」編集人]
序・帯:満田春日
装画:鹿田五十鈴 「神よりの使者」
装丁:和兔
四六判ドイツ装
176頁
2023/05/10刊行