◆第一句集
風船の糸の長さにある自由
飯田さんの句は、洒脱にして篤実なお人柄そのままに、素直な詠み口の中に飄逸な味わいがあり、且つまた読み手の方がついつい深読みをしてみたくなるような、奥行のある作品が多い。
(波戸岡 旭)
◆波戸岡旭抄出十二句
往診の靴春泥の端踏んで
ふらここや逢はざれば恋育つなり
犇めきておのれを焦がす落椿
橋半ばにて薫風と思ひけり
コロナ禍の夏よピカソのゲルニカよ
梅雨闇や歯型合はする霊安所
いつからか老医と呼ばれ汗拭ひ
通り抜け出来さうに天澄みにけり
墓洗ふだけの帰郷でありしかな
更けてより踊り上手の入りけり
息白し地球ときどき赤き息
日向ぼこ生国遠き者ばかり
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[いいだひろし(1936〜)「天頂」同人]
序:波戸岡旭
装丁:君嶋真理子
四六判上製カバー装
194頁
2023/03/01刊行