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平成19年度宮城県芸術選奨新人賞受賞!
◆ 第二句集
もしかしたら、仁藤さくらはつかの間この世に来ているのかもしれない。青い一滴の光のしずくのように、ある日ふと、あの世からしたたり落ちたのだ。そのさくらの言葉が、この世の人や事物に触れるとき、俳句というかたちの澄んだ青い光を放つ。その青い光に魅せられて、私はすっかりさくらのフアンになっている。何億年も昔にファンになった気がする。(坪内稔典)
かげろふのなかの希望にさはるかな
早春のああなんといふあかるい奈落
父帰るゆふがほいろの死をまとひ
さびしくて鮟鱇海をうらがへす
つぐみつぐみ死ぬほどの青知らないか(収録作品より)
◆あとがきより
静臥の日々、俳句は私にとってひかりでした。
希望に、溢れるようなひかりが用意されているように、
希望にも仄かなひかりがあるのだということを、今は思います。
*
[にとうさくら]
装丁:君嶋真理子
菊判変型上製カバー装
128頁
2006.08.10刊行