●第一句集
蘭鋳の哀しき泡を吐いてをる
夕闇を来たる守宮に名を付けて
斗萌子さんの胸奥を垣間見るような気がする。
生きとし生けるものはすべて根源的な哀しみを負っていることに気づいた者だけが持つ視点であり、それは詩の最も大事な要素と言って良いであろう。
(序より・藤田 直子)
●自選十句
朝摘みの韮がデスクの下にあり
黄雀風琥珀の中の空気かな
花カンナ呪ひのダイヤあるといふ
水澄みて心に船を浮かべけり
冬鳥や羽撃くために棄てしもの
半仙戯自分に呪文かけてをり
山霧は穢れを祓ひ奥の院
涅槃西風荷台の牛は高く鳴き
猫の子の牛若丸のごと跳びぬ
星飛んで結末変はる物語
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[しむらともこ(1973〜)「秋麗」同人]
序:藤田直子
装丁:和兔
四六判上製カバー装
180頁
2022/09/30刊行