◆第六句集
応へなきものへ語りぬ夜の秋
苦境にある方がよい作品が生まれるのかもしれません。深く考え模索する時代になりましたが、これも一つの試練であると思っています。(著者)
◆自選十五句
いくそたびその名問はれて翁草
石積の集落どこも枇杷熟れて
ジーンズに脚入れて立ち夏は来ぬ
炎天を歩む失ふものは無く
炎昼の孤独たとへば深海魚
サングラス卓に置かれて雲映す
応へなきものへ語りぬ夜の秋
牛冷やす牛より深く川に入り
特高を逃れし父の墓洗ふ
草の香やごぼりと水のありどころ
戻りたる椅子に秋冷来てゐたる
皆が居るやうに蜜柑を盛りにけり
開戦日マンホールの蓋ことと踏み
初礼者大きザックで来たりけり
小豆粥母は生涯京ことば
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[わだ・じゅんこ(1937〜)「繪硝子」主宰]
装丁:和兔
四六判上製カバー装
198頁
2022/09/20刊行