◆第五句集
恐らく一生つづくであろう句業の中で、この『真太太幾』が、自分にとっての一つの分岐点となることは間違いありません。この第五句集によって、今まで頑なに背負って来た、こだわりやしがらみや狭量な価値観などを、自分でも意外なほどサラリと脱ぎ捨てることが出来ました。
(あとがきより)
◆自選十五句
春浅し川は身丈を伸ばしつつ
新しき靴がひと乗せ夏に入る
夏空のすでに人知を超ゆる碧
噴水は風とかたらひ人濡らす
篝火の音はじければ鵜の猛る
素足わけ入る靴下の行き止り
闇食うて花火の育つ越後かな
標高も海抜も未知くものみね
純系の胡瓜曲りたくてまがる
水着無きころの羽衣天女かな
台風来ほとけもすなる神頼み
鎮魂のラジオあたため酒二合
尖らせるほどの神経無き海鼠
雪つどひ川面を秘と流れをり
後悔の無き歳晩のなかりせば
Amazonでの本の購入はこちらより→ Amazon
ご本の紹介→ (ふらんす堂「編集日記」)
[こうちふみお(1949〜)「銀化」同人]
装丁:君嶋真理子
菊判変形上製カバー装
226頁
2022/08/30刊行