[立ち読みする]
◆ 第一句集
美しき人買ひに雛買はれゆき
著者もいよいよ醸熟の季を迎える。ますます佳き魂の詩(うた)の紡ぎ続けられんことを期して、上木慶賀の言葉に代えたい。
(序・辻田克巳)
余り苗みのりの色に枯れ始む
毛皮売る滝のごとくに飾り立て
美しき人買ひに雛買はれゆき
梅雨の湖つまらなさうに魚掛かる
蜥蜴の尾切れて一秒前は過去
薔薇抱へ最上階のボタン押す
銭亀に銭亀何としても登る
一見の客は通さぬ麻のれん
猫の瞳の針よりほそく寒の入
とある夜の祇園のとある春惜しむ
自選一〇句
「幡」同人
定価 本体2476円+税=2600円
序文・辻田克巳
装丁・君嶋真理子
四六判上製カバー装