◆第一句集
子ら泳ぐ声して川の現はるる
引地川は、藤沢市中央部を南北に貫き自宅の近くを流れる。下流では、いまだに川底を見せない町川である。この川の水が澄んで、藤沢市の誇りとなる日を心待ちにしている。(著者)
◆作品抄出
美しき竹立ててより秋祭
立ちどまるとき秋風に越されゆく
自転車とまろべば草のかぐはしき
黴の香も後生大事に宝物殿
栃の花父性なかなか身につかず
子の汗の甘き匂が飛びつきぬ
恵方みち海が展けて来たりけり
雲海へ足を踏み出しさうになる
藤房の軽さの母のもうあらず
尾を捌きつつ大凧の降ろさるる
晩年の顔を寄せあひ落葉焚く
動きさうな水もとどめて蝌蚪の紐
いつまでも去らぬ山鳩卒業す
冬晴の爺はほたほた柴運ぶ
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[かみやあきお(1952〜)「季」主宰]
栞:山西雅子・西野洋司・佐野典比古・伊藤伊那男・山田真砂年・太田うさぎ・浜田はるみ・中根美保・山田貴世・菅美緒・篠原広子・川面忠男・大和田アルミ・上川謙市・鹿野島孝二・加藤いろは
カバー装画:尾崎淳子
装丁:君嶋真理子
四六判上製カバー装
210頁
2022/08/14刊行