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◆ 第一句集
「漉き重ね齢かさねて髪漉女」「うたた寝の値千金遠蛙」「寝たきりへお声こけて棚経僧」など、日常の生活に根差した作品があふれている句集。「吊されて鮟鱇に口ありにけり」のような異色作もある。優れた構成、新鮮な発想によって描き出された光景は、読者の心に、直にひびく。(帯・鷹羽狩行)
摘むとなくつみし土筆の手に余り
大釜の出番ありけり年用意
隣合ふことも縁や墓洗ふ
神棚へ炒りしばかりの年の豆
いつよりか住み替りゐて薔薇の門
黒髪を羨(とも)しと梳きて雛納め
いくだびも念押して熄み法師蝉
歯ごたへの一種(ひとくさ)ありぬ七草粥
燈籠に透きて山河のうすみどり
寒禽の一声に森引き緊しまる
●著者略歴
昭和4年栃木県益子町生まれ。昭和54年「狩」入会。平成6年狩会友。平成10年狩同人。俳人協会会員、栃木県俳句作家協会会員
序文・帯 鷹羽狩行 跋文・池田 好
装丁・君嶋真理子 四六判上製カバー装 200頁