●第一句集
雪片に潔きものためらふもの
降る雪のひとひらひとひらを見ている詩人の眼がある。潔く落ちてしまうもの、またためらうように宙に漂うものがあるというのだ。それだけの内容だが、ここには何か人の生きざまのようなものさえ感じられる。
鷹羽狩行
●片山由美子抄出十句
啓蟄や繰りて楽しむ時刻表
自転車を漕ぐや西日を追ひかけて
一号車一番A席旅はじめ
雛納め子ととりとめのなき電話
あぢさゐに埋もれて夫を見失ふ
四宝まづ机上に正し筆始
ことのほか鑑真廟の今日の月
子ら去りて仕舞ふ布団の重さかな
水仙や小筆やうやく手に馴染み
住み慣れて大和しうるはし柿若葉
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[やまこしけいこ(1942〜) 「香雨」創刊時同人]
帯:鷹羽狩行
序:片山由美子
跋・田中春生
題簽:山越桂子
装丁:君嶋真理子
四六判上製カバー装ビニール掛け
212頁
2021/07/04刊行