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◆ 第一句集
「黒々と松前帰る日の礁」
三上冬華が書きとめようとしたのは、自己の原風景への果てしない旅だ。
北海道渡島半島の松前の今は失われてしまった景を限りない愛と憧憬をこめて描き出す。俳句でなければできない景がここにある。(帯・辻 桃子)
みづからも歩みて蟻に曳かれゆく 北海道渡島半島の松前の、今は失われてしまった景を限りない愛と憧憬をこめて描く句集。
荒海やねとりと甘きおんこの実
大綿のしんとあをきは瞳のあたり
お雛様しまふやもとの開かずの間
四月馬鹿砂丘登つた人に海
花茣蓙の何の花ともいふでなく
八月の飲食に手をあはせたる
流されて舟に従き来る形代も
菊の日の椀をあければ魚の目
みづからも歩みて蟻に曳かれゆく
ちんちろりんちんもうこれがせいいつぱい
帯:辻 桃子
装丁・君嶋真理子
四六判並製ソフトカバー 144頁
●著者略歴
1942年北海道生れ。1993年「童子」入会、維持会員、同人。1999年第十回桃夭賞受賞。2002年第十三回童子賞受賞。第十二回わらべ賞大賞受賞。2003年第十三回わらべ賞受賞。日本伝統俳句協会々員