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川蟹の出汁もよく出て芋煮会 猟銃を磨く小柄な猟夫かな ふるさとの若狭の地を拠点にして、自然の中に、暮らしの中に入って詠んだ句集。
美雪さんは間もなく喜寿を迎えられるが、その作品に「喜寿らしさ」は微塵も見られない。もちろん「嫗らしさ」もであると言ったら叱られるだろうか。精神がしゃんとしているから、体もしゃんとしている。それだから作品が若々しいのである。(序より)
●茨木和生抄出
間祝着著て初漁の戻り待つ
狼(ぬくて)祓ふ年縄を田に張りゐたり
日の佛月の佛に春の雪
目走りの人につき行く蕨狩
泥落し牛にも神酒を舐めさせて
鯖鮨を差し入れにゆく簗番屋
川蟹の出汁もよく出て芋煮会
薬喰スノータイヤに替へもして
薬喰犬歯まだまだ役に立ち
猟銃を磨く小柄な猟夫かな
序文・茨木和生
装丁・君嶋真理子
四六判上製カバー装 184頁
●著者略歴
本名・ミユキ。1930年9月19日、福井県小浜市生まれ。1996~99年NHK俳句実作講座受講。1998年奈良県俳句協会春季大会大会賞受賞。奈良新聞社賞受賞。2001年「運河」入会。2006年「運河」同人。俳人協会会員。大阪俳人クラブ会員