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松本余一句集『言霊II』(ことだま2)

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◆第三句集
パティシエの帽の高さに初蝶来

私にとって俳句は迷路のようだ。そのなかで不可欠なのは読み手という存在である。これは私と読み手の感性の共有なのかも知れない。旅遍路の同行二人に近いものかも知れないとの思いから、俳句遍路も楽しい。
(「あとがき」より)


○木暮陶句郎選
万歳は吾のリハビリ葱坊主
パティシエの帽の高さに初蝶来
花冷やそのまま雨になる気配
梅雨晴間さみどり映ゆる釈迦如来
薫風や森に木の声水の声
滅ぼせし者も滅びて草茂る
対岸に榛名十峰土用東風
爽やかに病み抜ける業俳句道
長き夜や酒場の奥の灯の明し
見渡せる多摩の横山秋澄める
言霊は胡桃のなかの響かな
あれはもう戻らぬ高さ尾白鷲
牡蠣殻にほのかに虹の走りたる
ドアマンの分厚きコート金モール
余生てふ輝くあした初山河


ご本の紹介→ (ふらんす堂「編集日記」)


[かみもとしゅうじ(1939〜)「ひろそ火」会員]
装丁:君嶋真理子
四六判上製カバー装
206頁
2022/04/15刊行
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