◆第一句集
山背の空はけぶりて桐の花
眼前のものと、それらを取りまく自然の大きさを讃えている。それは季語であったり、詠み込まれた物であったりするが、どこまでも自然体の駒代さんが表れている。自然を詠むには、先ず己がその中に心身を委ねることが大切ではないだろうか。
序より・浅井陽子
*
「真味求心」三句選・茨木和生収録
◆自選十二句
美しき縞蛇過る五月かな
田水沸く空どこまでも縹色
梟の来てゐる牡丹焚火かな
黄昏るる野の明るさよ蕎麦の花
冷え込みもめでたかりけるおん祭
燕の巣四つ許して自転車屋
秋草や飛鳥の石は名前持ち
残る虫鎌のやうなる月が出て
如月や白雲光りつつ生まれ
花の絵のタイル敷く道燕来る
野のひかり纏ひて森へ夏の蝶
玫瑰や廃船にある遠き日々
Amazonでの本の購入はこちらより→ Amazon
ご本の紹介→ (ふらんす堂「編集日記」)
[ふじたこまよ(1947〜)「運河」「鳳」同人]
「真味求心」三句選:茨木和生
序:浅井陽子
装画:田淵ちあき
装丁:和兔
四六判並製カバー装
208頁
2022/04/15刊行