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◆ 第一句集
「帆船の骨格透きし青葉風」右は、著者田中玉江さんの近詠であるが、帆柱の影を帆船の「骨格」と捉える、その着想のたくましさと、強腰の詠みぶりは、刮目に価する。この作品にも見られるように本句集の著者田中玉江さんの若々しい精神力はまぶしいばかりである。(序より・波戸岡 旭)
芒風折れむばかりに去来の碑
蝌蚪大国ディスコの名手数知れず
神々の滝てふ銀河しぶくなり
木々の間に鳥の目があり花筵
鯛焼の客の視線を裏返し
帆柱を猿(ましら)走りに夏港
残る虫時々絶句してをりぬ
すぐに座の華となる人冬ぬくし
春雷の一喝に猫すつとびぬ
今は今の心にまかせ桜咲く
●著者略歴
1925年6月長崎市に生まる。1990年2月「沖」「沖長崎」入会。1997年1月「沖長崎」同人に推さる。1999年3月「沖」退会。1999年5月「天頂」入会。2003年1月「天頂」同人に推さる。2003年4月「沖長崎」退会。俳人協会会員
序文・波戸岡 旭 跋文・藤野律子
装丁・君嶋真理子 四六判上製函装 204頁