◆第三句集
松永典子の第一句集『木の言葉から』以来、この作者のファンである。世に出たがらないので、世間的には目立たないが、五七五の言葉の絵を紡ぐ彼女の技は冴えている。この句集では
春雪や埴輪の家に窓ふたつ
枇杷の種うはさ脚色されてをり
などという言葉の絵がとっても楽しい。想像をかきたてる。
坪内稔典
◆自選十句
惑星はおほきな磁石鳥渡る
流れ星揺れる夜空を残しけり
大根にかくし包丁黄泉に母
裸木となるそれでいいそれがいい
順路どほりに枯野へと出てきたる
人の灯と冬の銀河とひびきあふ
子の言葉殖ゆ寒星の出そろひて
夕暮れはレントゲン色冬木立
裸木は父子のジャンパー吊るところ
寒の月シールはがしし痕に似て
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ご本の紹介→ (ふらんす堂「編集日記」)
[まつながふみこ(1947〜)]
帯:坪内稔典
装丁:君嶋真理子
四六判上製カバー装
154頁
2022/03/15刊行