●第二句集
蛞蝓の長き腸透けにけり
杉原さんは現場でしっかりものを見て、写実的な句を詠む作者である。実生活においては、多忙なビジネスマンであり、妻子によく気を遣う良き家庭人たらんとしている人である。そんな壮年の人がこれほど読み応えのある句集を出されたことを喜ぶ。
(栞・岸本尚毅より)
●自選一五句
去年今年なくレーダーの回るかな
人日のにやりとローン担当者
霊泉をペットボトルへ初薬師
雛壇を支ふるビールケースかな
また二泊三日の鞄西行忌
卒業や天気晴朗風高く
部下のみな在宅勤務四月馬鹿
煙草吸ひながら夜店の魚捌く
炎昼に株主散つてゆきにけり
新涼やカナダ国旗の赤と白
水のなき十一月の橋渡る
霜晴に仰ぐケベック州旗かな
結氷の湖を小型機発ちにけり
辞めさうな後輩とゆく年忘れ
装甲車洗ふも御用納かな
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ご本の紹介→ (ふらんす堂「編集日記」)
[すぎはらゆうし(1979〜) 山茶花」飛天集同人、「夏潮」運営委員]
栞:岸本尚毅
装丁:和兔
四六判並製カバー装
190頁
2022/04/09刊行