◆第一句集
新盆の妹が来てゐるいつもの庭
作者の体験が詩的なことばを生み、それが表現によって組み立てられ現出した世界。絢子さんの胸中の抽象的な場所、妹さんの姿を可視化させた作者の本当の世界だ。懐かしい妹さんとの思い出、その笑顔、笑い声が絢子さんの心に押し寄せる。
(序・鈴木章和)
◆自選十句
恐竜の卵の孵る朝桜
どこに置かうアールグレイの時間・春
大人のブランコいつも空まで届かない
抱きしめる夫ありそのほかは五月
サルトルもカミュも泉なりし日よ
わたくしといふ六月の薄いスープ
考へる窓は縦長小鳥来る
月明の穂高は虎を放ちけり
殷賑を来て秋草のやつれかな
墨痕のごとき雲飛ぶ枯野かな
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[くすはらあやこ(1939〜)「翡翠」同人]
序・鈴木章和
装丁:君嶋真理子
四六判並製カバー装グラシン巻
208頁
2022/01/01刊行