◆第一句集
常陸帯恋する女だけのもの
男女が帯に意中の人の名を書き、神官がそれを結んで縁を定めたという伝説があるが、本来は、恋する女性が男性の名を記して神に祈ったのだと断定したのである。そこに、作者の潔癖さと女性としての情熱が窺える。
(序・鈴木貞雄)
◆自選十句
ゆくりなくここ城跡の梅に佇ち
牡丹の芽燃えて虚ろな埴輪の目
黒潮の沖流るるも春寒し
初蝶や子と濡縁の盆手前
草笛を吹き少年となりし夫
宇宙より烏賊釣船の灯の確と
国宝の太刀十尺や菊の宮
灯火親しモノクロームの裕次郎
常陸帯恋する女だけのもの
留学の子に餞の初桜
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[くろさわゆきの(1945〜)「若葉」同人]
装丁:君嶋真理子
四六判上製クロス装
192頁
2021/11/30刊行