◆第二句集
初冬や軋みて上る高野線
魞挿して四方の嶺々整ひぬ
嘶きの鳥居をくぐるおん祭
どの句からも、俳句を心の支えとして真摯に生きる著者の姿が浮かび上がってくる。とりわけ、大阪に生まれ育った作者らしい関西の景物を詠んだ作品は生き生きしている。これからも俳句は、八十代の作者の豊かな人生と共にあるだろう。
帯より・片山由美子
◆片山由美子抄出十句
二階より下りて用なき熱帯夜
雪達磨声を掛けたきほどの出来
やはらかくひかりを包み袋掛
風に浮くごと水に浮き水馬
全山の抱へきれざる花吹雪
指先で軽く開きて夏暖簾
一身に海のかがやき水着着て
父の日の父の背中を見てゐたる
夕立や砲台跡の匂ひ立ち
鮎落ちて大きく曲る吉野川
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[たなかきよし(1938〜)「朱雀」同人会会長・「香雨」創刊同人]
帯:片山由美子
装丁:君嶋真理子
四六判上製カバー装
204頁
2021/09/30刊行