◆第一句集
威銃遠くにひとつまた鳴れり
正次さんの心に宿る「ふるさと」をいつでも身近に感じていられる幸せを持
ち続け、今後も生涯に渡り、北信の折々の四季を丁寧に詠んでいって貰いたい。
(序・染谷秀雄)
◆自選十二句
仄暗き味噌屋の奥の雛飾
棒切れで突ついて帰る蝌蚪の水
一枚の月光に浮く蛇の衣
空蝉のまだ濡れてゐる胡桃の木
日向水母に遣ひて余りけり
盆提灯たためば広き古座敷
蜂の巣の転がつてゐる野分晴
遠くより空の鳴りくる威銃
村芝居人影うごく楽屋の灯
満天の星置き去りに山眠る
雪折れの松曳きし跡荒々し
父祖の地に佇ちて一礼初茜
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[いっしきしょうじ(1945〜) 「秀」同人]
序・染谷秀雄
装丁:君嶋真理子
四六判上製カバー装
208頁
2021/09/10刊行