◆第一句集
湯豆腐やゐるだけでいいそれでいい
喜代子さんと夫との心の通い合いを通して、私たちに改めて生きていることの意味を考えさせてくれる。普段は他愛ないことで諍ったり反目したりするが、亡くなってはじめて生きて側に居てくれる有難さが解る。まさに「ゐるだけでいいそれでいい」のだ。
序・村上喜代子
◆自選十二句
いには野の土となるべく耕しぬ
春泥の乾きし犬の乳房かな
茄子漬を仏頂面の前へ置く
空蝉に産みの気魄の残りけり
土塊の芯まで乾く暑さかな
アルプスの石の詰まりし登山靴
夏旺ん神田明神きんきらきん
白帝や山階鳥類研究所
秋暁の旅立ち告げず逝きにけり
人参の嫌ひな人と共白髪
一陽来復天地を返す釜の飯
湯豆腐やゐるだけでいいそれでいい
*
Amazonでの本の購入はこちらより→ Amazon
ご本の紹介→ (ふらんす堂「編集日記」)
[たけしたきよこ(1940〜)「いには」同人]
序::村上喜代子
装丁:君嶋真理子
四六判並製カバー装
206頁
2021/08/22刊行