◆自句自解
普通十年ぐらい俳句修行をして、それなりの句がかなりの数になり、そこから厳選して出版するのが常であろう。しかしまだ初心で拙い句ではあるが、初心は初心なりの素朴な良さもあるのではないか、またしばらくすると自分の句の拙さが目につき、世に出すのを躊躇するようになるのではとも考え、あえてこの段階で出版することを決意した。
(あとがきより)
◆内容紹介
001
猫の恋宇宙じりじり膨れをる
これが俳句雑誌「鷹」に投稿し、初めて採択された一句である。作句したのが早春であったので、季語として猫の恋を選んだ。春先にやかましく鳴く繁殖期の猫というごく日常的なものと、かたや膨張する宇宙という壮大なものを並列してみたが、果たしてどんなものだろうか。
初めてであったので、いろいろな句を参照しながら、苦労して何とかひねり出したことを覚えている。果たして句作がどこまで続くかと思っていたが、それ以来五年ほど何とか続いている。今となってはまことに懐かしい一句だ。
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ご本の紹介→ (ふらんす堂「編集日記」)
[かとうよういち(1947〜)「鷹」所属]
装丁:君嶋真理子
四六判変形並製カバー装
210頁
2021/07/07刊行