◆第三句集
かいつぶり眼くもれば潜りけり
老いが他人事であった頃には、見えなかったもの聞こえなかったことなど、自然や人事の襞が少しでも捉えられていればと念じて、集名としました。
(著者)
◆自選十二句
春の雪この世のものに触るるまで
かいつぶり眼くもれば潜りけり
ぼつてりと高野豆腐や春まつり
ゆふぐれの顔してあふぐ桐の花
十二月八日の空が井戸の底
歌かるた光源氏の札のなき
雲流れやまず桜の散りやまず
父の日や船にバラストあることも
ゆく夏や林に入れば風が見え
秋嶺の石鎚いまも波郷待つ
ものがたりひもとくやうに林檎むく
ともし火は人に寄り添ひ去年今年
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[はぜきゆうこ(1945〜)「香雨」同人]
装丁:君嶋真理子
四六判上製カバー装
194頁
2021/06/22刊行