◆第一句集
冬ざれに値段を付くる仕事かな
關考一は一介のサラリーマンではなかった。段々明らかになる氏素姓。家業では古くからの造園業を営み、好むと好まざると、俳句を始める以前から自然を刈り込む仕事を傍らで見て来た。そして、気がつけば大量の読書に因って培われた強記という“鋏”で刈り込むことを始めてしまっていた。
(帯・中原道夫)
◆自選十二句
ずぶ濡れのワイシャツ脱がむ夕の虹
ゴーグルに当たるものあり冬銀河
唇を噛めば春星うるみがち
カモナマイハウス狭き穴なり望潮
春愁に掛け回す蜜黒か白か
鰥にも荒地野菊の道はある
目玉さへ点眼薬の涼を欲る
空少し広うなりたる盆の明
盆明けや異界の如き会社へと
神の留守穴(とぼそ)・突起(とまら)にあそびかな
ダイキリのよく出る晩の守宮かな
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[せきこういち(1962〜)]
帯・序・装丁:中原道夫
菊判変形上製カバー装
230頁
2021/06/21刊行