◆第一句集
芽起こしの雨朝より診察す
真一郎さんは、自然詠の中に人の息遣いや、ぬくもりを感じる句、気持のあたたかさが感じられる句に惹かれると話されます。それは常に患者さんに心を寄せて治療を行っておられる医者という立場から自然に起こる感情であるかと思います。そして、その詠まれる句は、のびやかで健康な詩精神に裏付けられており、素直な描写が読む側に安心感を与えてくれます。
序・古賀雪江
◆作品紹介
清水湧く郷なり戸ごと鯉を飼ふ
古里に芋煮る匂ひ暮の秋
星空へ虫鳴き挙る城下町
退院も一つの別れ鳥曇
夕蛙引越してまづ風呂を焚く
人日や雪に転びし人を診る
膝に鍼打つて遍路の旅に立つ
包帯を手摺に干して春を待つ
人の日や母に似てゐる患者診る
旅に訪ふ街はアカシア花盛り
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[うめだしんいちろう(1948〜)「雪解」同人]
序・古賀雪江
装丁:君嶋真理子
四六判上製函入り
194頁
2021/05/08刊行