◆第二句集
祖母の名はやすの巴旦杏たわわ
鬼房先生が指摘された「爽やかな心象の飛翔」の翼が、目に見える世界から目に見えない世界へと、いよいよ融通無碍の力を発揮し始めた。
高野ムツオ
◆高野ムツオ十句選
青鹿のごとく月下の一流木
縫初の白糸通す山河かな
完熟といふ痛みあり榠櫨の実
龍淵に潜むや下ろし金一つ
雁ゆきし天を映せる甕の水
草木と同じ息せり初しぐれ
秋風や地下水脈の上歩く
龍の玉没日は痛きまで澄めり
綾取の川をのぼれば妣のくに
奥羽山脈よりの風花鬼房忌
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[おおさわやすこ(1934〜)「草笛」「小熊座」同人]
序:高野ムツオ
装丁:君嶋真理子
四六判並製カバー装
200頁
2021/05/08刊行