◆第三句集
白樺の林を縫つて紋黄蝶
白魚の目の大いなること哀れ
白鳥や二羽てふ数の美しき
本句集には、母や妻や子を素材とした作品が多い。その中に、小さな蝶から白鳥まで、生き物を詠んだ句があり、著者・清水志さんの慈愛に満ちた眼差しを感じさせる。生きとし生けるものすべてに対する、愛情あふれる句集と言ってよいだろう。
鷹羽狩行
◆太田寛郎抄出
故郷に母すこやかや天の川
桟橋に手をふる母や盆終る
白樺に記せしわが名や鳥雲に
水引や立志ならずば帰るまじ
流木の砂に埋もるる星月夜
秋の雲ひとつ離れぬ手稲山
母に添ひ古都ゆく旅やお山焼
高遠の旅美しや夕桜
花吹雪の中より出でし鼓笛隊
育みしものとの別れ落し水
あたたかや母の位牌に花の影
遊びから知恵を授かり夏休み
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(ふらんす堂「編集日記」)
[しみずえさし(1943〜)]
帯・鷹羽狩行
装丁:君嶋真理子
四六判並製カバー装
186頁
2020/10/01刊行