◆第一句集シリーズ/II
手も足もばらばらになり蝶の昼
ここには身体感覚の冴えがある。蝶々が乱れ飛ぶ真昼は「手も足もばらばらにな」るとの感覚は、まさしく現代の不安感そのもの。現代を生きる私たちの避け得ない不安。その不安感を身体感覚で捉えた一句と言えよう。ここには生来の感性が働いている。
(序・塩野谷仁)
◆自選十句
きっと瑠璃色香水に色あらば
都忘れ君はどこ私はここよ
はつ夏に椅子を置くだけで孤独
コンビニの前に一枚の白夜
恋文を売る屋台あり天の川
マーガレット仮面はみんな哀しい眼
何という霧だ狼が口開く
かなかなやひとりの旅のきらきらす
港からずっと坂道パリー祭
露草のうしろに六さいのわたし
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[おおいけみき(1956〜)「遊牧」「海原」同人]
序:塩野谷仁
装丁:和兎
A5判ペーパーバックスタイル
72頁
2020/9/4刊行