◆第一句集シリーズ/II
桃ふたつかたみに息を吸うて吐く
「かたみに息を吸うて吐く」というもの桃も二つ、人間も二人。お互いに食べ合っているのは仲のよい二人に違いない。すると桃も艶々してくる。そこに魅力があるんじゃないかしら。
(序・金子兜太)
◆自選十句
菫草怒りの束は光に放つ
春の宵ひと刺してきた口漱ぐ
水草生う白きリネンの匂いして
沖縄忌見て見ぬふりの指を嗅ぐ
大浦天主堂毛虫一匹入れる瓶
八月のゆるき寝息の映画館
桃ふたつかたみに息を吸うて吐く
蒼穹はカッターナイフ銀杏散る
フクシマやスローモーションの牡丹雪
今日を跳ぶかぼそさを跳ぶ冬の虫
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(ふらんす堂「編集日記」)
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[かつらりんか(1958〜)]
序:金子兜太
跋:武田伸一
装丁:和兎
A5判ペーパーバックスタイル
72頁
2020/9/4刊行