◆第一句集
春の夜の絵本の山を崩し読む
おねだりされて母が子たちに絵本を読んでいる、とも読めるが、やや離れて母が絵本を楽しむ子たちを見やっている趣がある。その情趣を「春の夜」がやさしく包み込む。子たちを詠む時、膝を折って子どもの目線になっている。
(序・太田土男)
◆自選十句
台風一過これから君に会ひにゆく
みづうみのしづかなる日の胡麻叩く
耕しても耕しても鰯雲の下
秋澄みて宣誓のまつすぐな腕
生れし子を両手に受くる星まつり
薫風や学校の名をかけ声に
駆け出してサマードレスのふくらみぬ
かばんからおもちや出てくる花野かな
春の夜の絵本の山を崩し読む
十五夜の船笛届く子供部屋
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[かいのぞみ(1973〜)「百鳥」同人]
装丁:君嶋真理子
四六判ハードカバー装
220頁
2020/7/5刊行