◆第一句集
山藤がふるさとに巻く私にも
われらの田さんは田捨女の一族である。田さんが捨女の血をひいているから。
その血、すなわち田家の系譜のようなものが、故郷や「私」を巻く山藤かも。
跋より・坪内稔典
◆自選十二句より
じゃこ天の歯ざわりほどの去年今年
穴ひとつ持ちて定規の日永かな
ふるさとのさざなみミファソ耳菜草
桐の花捨女の声を真似てみる
蛍火や他人になっていく途中
流星をひとつ投げ込み米をとぐ
旅に出てザボンのように眠りたし
吉野葛ほどのとろみのそぞろ寒
恋人の影の明るさ枇杷の花
夜と夜繋ぎて雪のしんしんと
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(ふらんす堂「編集日記」)
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[でんあきこ 「船団」所属]
解説:坪内稔典
装丁:和兎
四六判仮フランス製カバー装
212頁
2020/7/26刊行