◆新詩集
時はゆくが またもどってくる 同じ顔してもどってくる
◆序
少々高い台地のうえに 烏帽子山という山があった
その名のとおりの形をしていたが くたびれて傾き 今にも崩れそうだった
どういうわけか 満月がそのうえをとおると わずかに斜面がへこみ
それを繰り返すうちに 烏帽子のかたちになった
その山麓に 小さな村があった
消防団長が のど飴を頬張りながら 郵便配達に言ったこと
四月から五月にかけて 大満月の頃にそれは起こる
人がものに変わってしまうと水分神社の縁起絵巻にも その様子が画かれ それは何かの約束事とも言われている
Amazonでの本の購入はこちらより→
Amazon
ご本の紹介→
(ふらんす堂「編集日記」)
*
[あさいまさと]
A5判変形フランス装カバー掛
装丁:和兎
108頁
2020.06.20刊行