◆第二句集
緑蔭へ飛び込んでくる子らの声
炎天下を歩いてきてやっと木蔭にたどり着いた喜びを、「飛び込んでくる」と活写。
このように、久野のり子さんの俳句は知と情が巧みに織りなされ、第二句集らしい深まりと余裕を見せている。
(帯・鷹羽狩行)
◆自選十句
生者死者花の下にて擦れ違ふ
初冬の雨や草木の香をふふみ
少年と犬と夕日と麦の秋
駆けのぼる霧の中より霧の湧き
竹伐るや天空に風巻き起こし
一輪の百花に適ふ帰り花
観潮船降りて縺るる足運び
肩触れて足すくはるる喧嘩独楽
紙魚走る経本の南無食ひ散らし
桐一葉人の歩みをとどめたる
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(ふらんす堂「編集日記」)
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[くののりこ(1946〜)「香雨」同人]
帯:鷹羽狩行
装丁:君嶋真理子
四六判ハードカバー装
182頁
2020/6/5刊行