◆最新詩集
今夜もうまく眠れそうにない
落ち着いて床につけたかと思えばいつもこう
からだの至る所がやたら疼き始め
次第に じっとしていられない猛烈なかゆみが襲って来る
この責め苦は毎晩のことなのだ
爪を立て掻き毟った皮膚は赤剥け
傷ついては 瘡蓋になるのを繰り返す
充分に痛みを感じながらも まだ掻き足りない
乾燥の酷い炎症部は 異物の刺激を受け
まるで世界に向け そこだけ晒されているかのように疼く
私のからだの何を担ってくれているのだろう
それはたった一撫でで もろくも崩れ去りそうだが
(「灰燼」より)
◆目次
閉ざされた時の中で
剥き出しの地
立ち会うとき
真夜中に
枯渇した川
その先にも
うちの猫
無について
一日の影
空咳
内部の危うさ
帰り道
苛まれる家
灰燼
本当に眠るために
午前五時
空白期間
見え透いたもの
早春
穴を掘る仕事
ビジョン
身元保証人
労働の義務
初めて読む本
埋葬
雨乞い
実りの季節
事実
息の習練
眠りの拒絶
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(ふらんす堂「編集日記」)
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[としおかまさと(1967〜)]
装丁:和兎
A5判変形半上製カバー装
110頁
2020/3/10刊行