◆第一句集
初蝶とわたしエリアをひょいと出る
「ひょいと出る」軽さがよい。人間のエリアから初蝶のエリアへ移動するのだが、その移動によって、「わたし」は詩に転じていると言ってよいだろう。つまり、「わたし」の存在そのものが詩になっている。
(解説より・坪内稔典)
◆自選十句
初蝶とわたしエリアをひょいと出る
おやすみは小さなさよなら春の月
黒揚羽草間彌生を越えて行く
夜の秋頬杖という形して
水澄むや一角獣も来て覗く
木犀の香り微熱の有るような
雪が降るヘップバーンの長い首
手と手足と足ときどき触れて雪
青い目になってしまうわ冬青空
雪よ雪よUターンしてちょっとキス
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[やまもとみちこ(1939〜)「船団の会」「MICOAISA」所属]
解説:坪内稔典
装丁:和兎
四六判ソフトカバー装
156頁
2019/12/25刊行