◆第一句集
玄帝の瞳の色に晴れわたる
鮮やかな比喩である。これによって、あたかも空全体が神の瞳であり、それに我々人間が見下ろされているかのようなスケールの大きさも出てくる。感覚の冴えと壮麗さとを兼ね備えた堂々の一句である。
(序・村上鞆彦)
◆自選十二句より
かなかなや砂にまみれて子の玩具
吾子の手を飛びだす香あり蕗の薹
臘梅や胸に棲みたる人ひとり
春の夜やつるんと落つる絹肌着
雨の香の残る蒼天入学す
鳥帰る赴任三年の岬の上
熱の子の視線絡まるラ・フランス
おかへりと母言ふ菊の揺るる中
白梅の中の紅梅母狂ふ
十月の陽の匂ひして子供たち
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(ふらんす堂「編集日記」)
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[さとうかい(1959〜)「南風」所属]
序:村上鞆彦
装丁:君嶋真理子
四六判並製カバー装
210頁
2019/10/19刊行