◆第一詩集
この詩集には、人生にとって、もっとも大切な、家族の最盛期の時間が、高らかにうたわれていて、健やかないのちの音楽が聞こえてくる。
人生の賛歌。
人は、この音楽と記憶とを道連れに、長い人生を生きることができるのに違いない。
私はどこかでこのような健康な詩を待ち続けてきたという気がする。
同時にこの作者の深層には、王朝の歌人のような愛の物語への憧れも渦巻いていて、その仮想の美学の息を呑むような美しさにも強く魅了される。
(帯・以倉紘平)
◆「骨になるまで」より
縁切り坂はとおらぬように
坂下の調伏屋 いもりの黒焼きふところに
桐下駄からころ
あいおい坂のてっぺんで
もう一度ふたり出会って
絵馬堂のひさしから
茅渟の海
寄せ来る波と白い帆を
千年いっしょに眺めていたい
骨になるまで寄りそって
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[たかもりゆか「沙羅」「アリゼ」同人]
帯:以倉紘平
装丁:和兎
A5判ハードカバー装
130頁
2019/10/1刊行