◆第一句集
どの句にも思い出が詰まっており、卓越した記憶力で旅吟の背景を語ってくれます。好奇心が活力の源なのでしょう。
今越祐子
母の俳句は素直で気負の無い写生句で、その眼差しは優しくあたたかい。年を重ねても、新しい時事や言葉も詠んでいて驚く。
成瀬真紀子
若い頃は淡いサーモンピンクのグラジオラスのようだった母も今は白花たんぽぽのようだ。背は低くなったが、今も変わることなく好奇心一杯に少女のような心と目で周りを見ている。
酒井恭子
◆自選十句
猫ふんじやつた連弾をしてお正月
亀甲橋くぐりて速し花筏
改札を自在に行き来親燕
手拭で顔一撫でし泥鰌焼く
虫干や爪の重たき熊の皮
次々に潟発つ雁の雫かな
風花や荷台の魚新しき
ずわい蟹己が値札を動かせり
炉煙の中に作るや兎罠
トランペット寒夕焼の校舎より
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(ふらんす堂「編集日記」)
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[いまこしみちこ(1929〜)「万象」同人、「りいの」創刊同人]
跋に代えて:山崎祐子、成瀬真紀子、酒井恭子
装丁:君嶋真理子
四六判ソフトカバー装
210頁
2019/9/26刊行