◆第一句集
明日咲く莟ぎつしり黄槿は
黄槿は一日花だけに必死に咲き切ろうとする。しかし、この句では花は咲いていない。おそらく夕方の詠に違いない。花の萎んでしまった黄槿の木を見ると、明日に花を咲かす蕾がぎっしりと枝についている。黄槿の花蕾に語り掛けている姿までも見えてくる。
(序・茨木和生)
◆自選十句
春暁の夢に未知の子産み落す
剥ぎ取りし空蝉のもうくつつかず
足音も肥料と言はれ大根蒔く
秋の道あさぎまだらとすれ違ふ
明日咲く莟ぎつしり黄槿は
立春の磐座に日の届きけり
大樹には大樹のうつほ健次の忌
陸よりも沖に明るさ秋彼岸
峰雲に青空といふ余白あり
猪捌く小屋に大きな台秤
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(ふらんす堂「編集日記」)
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[うえのやまあきこ(1955〜)「運河」同人]
序:茨木和生
装丁:君嶋真理子
四六判ハードカバー装
214頁
2019/8/24刊行