◆ 現代俳句12人集 第11回配本!
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句を作るということが、先人の涎をねぶり技を研くだけの守りの姿勢からでなしに、後世のかけがえのない個の投入によってはじめて意味付けられるのではないかと、頃者頻りに感ずるようになって、個を支え錬り上げるものに拘り始めたのかもしれない。
面白い俳句を作ってやろうと意図したことは一度もない。滑稽など、演出できるものではないからで、そんな事をいったら滑稽が泣くだろう。
著者(あとがきより)
焦螟のその睫毛にもさらに虫
泣く奴があるか鶯鳴きにけり
絹の幾綛藍染の土用干
秋厨ぴたりと動くものもなし
風邪の児のなほくりくりと元気なり
お涅槃に後れし猫の鈴の音
今どきの高歌放吟夜の秋
沖に闇濃しゆく年かくる年か
装丁・君嶋真理子 四六判上製カバー装 220頁
●著者略歴
昭和6年3月28日、京都生。同32年、秋元不死男・山口誓子に同時師事。氷海賞、天狼コロナ賞、また第二句集で俳人協会新人賞、第四句集で宇治市紫式部市民文化賞など受賞。日本文芸家協会会員。俳人協会常務理事。