◆第一句集
手に負へぬ嵩となりけり干蒲団
「手に負へぬ」と嘆くどころか干蒲団のふくらみ、ぬくみを喜んでいるのである。
本集には〈露けしやそのうちといふ時はいつ〉など、季語の選択の絶妙の句があって楽しい。
(帯・鷹羽狩行)
◆鈴木伊都子抽出
憂きことのまつはる髪を洗ひけり
寝るまでを読んで聞かせて端午の日
母の日や子は風のごと来て帰り
家を出るときから駆けて運動会
山粧ふ岩場は岩の白をもて
お隣と垣なきくらし菊括る
鵙の声言ふべきことははつきりと
石蕗咲くやよろこびごとは控へ目に
曝書して理数に疎き家系なる
封筒のこの膨らみは新茶かも
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(ふらんす堂「編集日記」)
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[くらもとともこ(1939〜)「香雨」同人]
帯・鑑賞三句:鷹羽狩行
跋:鈴木伊都子
装丁:君嶋真理子
四六判ハードカバー装
194頁
2019/7/7刊行