◆第一句集
一隅を得たる百足や涅槃絵図
写生力がよく働いていることが判るであろう。特に涅槃図に百足を発見したところが鋭い。この観察力、写生力に加えて多見歩さんは構成力というか佳い意味での技巧力がある。
(序より・有馬朗人)
◆自選十句
うずくまる鳩に隣りて日向ぼこ
こふのとり訪ねくる夜辛夷咲く
春愁や鼻筋長き伎楽面
アルプスの千のもののけ雲の峰
千年の貧窮問答栗の花
秋燕やジョットの塔をふた廻り
ポンペイの墓に巫女の名鳩の恋
祭足袋ずらり干したる木場の朝
残り鴨木場角乗りの材に寝る
暖かく雪降る夜半や蕪村の忌
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(ふらんす堂「編集日記」)
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[たかはしたみほ(1947〜)「天為」同人]
序:有馬朗人
装丁:和兎
四六判ソフトカバー装
190頁
2019/5/30刊行