◆第一句集
遁走の蜥蜴に重き尻尾あり
詠むべき対象である蜥蜴と作者とが重なって、ひとつになる。そこに強い魅力が生まれている。正博俳句は縄文を強く指向している。それがたしかな手応えと新しみを生み出しているのだ。
(帯・小澤實)
◆小澤實十句抄
ふるさとは弁慶蟹のゐる処
老猟夫天地和合の謡かな
晩秋の諏訪は暑しよ宮崎より
のんのんと蛭は泳ぎぬ雨の午後
大概の男は阿房冷酒酌む
青き海より太刀魚を引き抜けり
毛虫焼く焔ぽぽぽと青ませて
新緑のまづたぶの木を頼りとす
蝮打ち殺して午後を何もせず
酒好きの風邪拗らせてしまひけり
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(ふらんす堂「編集日記」)
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[かわぐちまさひろ(1949〜)「澤」「椎の実」同人]
序:小澤實
装丁:和兎
四六判ソフトカバー装グラシン巻
182頁
2019/4/13刊行