◆遺句集
数の子の万余の夢を嚙み潰す
狩野敏也は、人間のあらゆる可能性を体現してきた創作者である。そのジャンルは詩・俳句・童話・小説に留まらず、歌曲・料理と幅広い。恰も一粒の数珠球を覗くと見える万華鏡の世界の如くである。
(解説より・高澤晶子)
◆収録作品
蟻地獄わが身に喩ふ日のありて
挫折経て入道雲は丸くなり
チョコ二つ終の恵かヴァレンタイン
辞めてなほ定期券まさぐれば駅燕
連れ合ひの意外な寝言明け易し
歯に優し後期なんとか穴子食む
落日を背負ひ帰れば百日紅
墓買ふか思案の背なに秋の風
行き暮れて花野の果てに消えやうか
譲ること多き日々かな衣被
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(ふらんす堂「編集日記」)
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[かのうびんや(1929〜2019)「花」「竜骨」「花林花」同人]
解説:高澤晶子
装画:櫻井としお
B5判変型ハードカバー装
178頁
2019/4/5刊行